晴れのち蜜柑

写真:晴れのち蜜柑

 

自然の恵み豊かな地、「浜松」で生まれました。

 

浜松市の南に広がる海岸沿いには、日本三大砂丘のひとつ中田島砂丘があります。
アカウミガメの産卵地として有名です。
卵の保護や、子ガメの放流活動も行われています。

その中田島砂丘が大勢の人で賑わうのが、5月の連休。
子どもの誕生を祝って「初凧」を揚げる、伝統行事「浜松まつり」が行われます。

「遠州のからっ風」と呼ばれる強い風に乗り、一辺が3メートルを超える大きな凧が100個以上、一斉に中田島の青い空に揚がる。
その瞬間は圧巻です。

浜松市の西に位置する浜名湖は、海苔、うなぎ、あさりの産地として知られていますが、それ以外にも多くの生き物が生息しています
魚介類は日本有数で約800種、野鳥は200種類以上。

自然の恵み豊かな湖です。
また、汽水湖としては日本一の大きさを誇ります。
東京の山手線がすっぽり収まるくらいの面積です。
太陽の光を浴びた青い湖面はキラキラと輝き、一年を通してマリンスポーツも盛んに行われています。

浜松市三ヶ日町は、温州みかんの産地です。
美味しさの秘訣は、日本でもトップクラスの日照量。

山の南斜面に広がるみかん園で、太陽の日差しをたっぷり浴びて育ちます。
収穫後は長期間貯蔵。
それにより甘味とコクが増します。
一年を通して農家の方々が手間ひまをかけて大切に育てたみかんが、11月から春にかけて届けられます。

手のひらに乗せると、ちょこんと丸くて可愛らしい。ほっこりと優しい気持ちにさせてくれます。
柔らかい皮をむいて一房頬張ると、とっても甘い。
そんな美味しい三ヶ日みかんを小さい頃から食べて育った私は、浜松が大好きです。

「晴れのち蜜柑」に願いを込めて(長島店長)

浜松市三ヶ日町で300年前から生産され愛されている三ヶ日みかんが、サン・ラファエルの「お菓子な仲間」の手によって、可愛いお菓子に生まれ変わりました。

形はヨーロッパで親しまれているクグロフ型。
クグロフは、村の結婚式や洗礼式などの「ハレの日」に古から食べられている伝統菓子です。
人生における様々な「ハレの日」に、皆様の笑顔に花を添えられるような存在でありたいと願っています。

遠州灘の青い海、浜名湖の青い湖面、そして晴れ渡る青い空に眩しく輝く太陽が、蜜柑色の夕日へと移ろう。
自然の恵み豊かな浜松での素敵な思い出を、お菓子とともに思い浮かべてもらえたら――そんな願いを込めて『晴れのち蜜柑』と名付けました。

 

 

素材 製法 想いのすべてが自慢の美味しさです。

 

サン・ラファエルでは、過去にみかんケーキを製造・販売していたことがあります。
レモンケーキのように丸いドーム型に、みかん風味のチョコレートをコーティングしたものでした。
美味しく自慢の焼き菓子でしたが、夏にチョコレートのコーティングが溶けてしまったり、他の新商品に押されたりで、いつしか製造中止となりました。

しかしこの間も、みかんケーキのことを忘れたことはありません。
地元の素材を使った美味しいお菓子を作りたい、一人でも多くの方に浜松の良さを伝えたい、そして、あの美味しかったお菓子をもう一度作り味わってもらいたい。
そんな思いで復刻版「みかんケーキ」の研究を続けてきました。何度も試行錯誤し、時には販売員や元パティシエである妻に感想を聞きながら。

 

サン・ラファエルでは、国産の新鮮な小麦粉、卵、バターを使用しています。
そこに、地元浜松で採れる三ヶ日みかんを贅沢に使いました。
ペースト、ピール、果汁などすべて、三ヶ日みかんを使用しています。形状は丸いドーム型からクグロフ型に変更。
女性スタッフからは「可愛い」「お祝い事にいいね」など好評でした。

ふわふわの食感にするために、卵と砂糖を一緒に温め泡立てたところに、小麦粉、バター、三ヶ日みかんを加えていきます。

気泡を大切に混ぜ過ぎは禁物。

しかし全体が馴染むように混ぜる。ご家庭で作るホットケーキの生地のようなやわらかさに仕上げます
何度も何度も試作を繰り返す中で、その生地を見ながら思うのは、子どもがお母さんとお菓子を作る時の笑顔です。
私の作ったこのお菓子で、多くの人に笑顔になってもらえたらって。

 

その日の気温や湿度など、季節によって仕込みのちょっとした匙加減が必要です。
様々な生地づくりを通しての長年の勘といいますか、それが自然にできるほどに成長したと自信を持っていいんですかね。
今は便利な機械も沢山あって助けられることもありますが、自分でレシピを考えて、自分の手で混ぜ、型に流したものをオーブンから出した瞬間、ほんのり甘く爽やかなみかんの香りが部屋中に拡がる。

職人としてのやりがいを感じる瞬間です。

生地だけでも充分に美味しいのですが、最後にパンチのある三ヶ日みかん味のグラスをのせました。そこが一手間の美味しさです。

美味しいお菓子を作る、そして喜んでもらう。こんな素晴らしい職業に出会えて本当に幸せです。